先日、取引先の方から写真が送られてきて、「この鉄管をステンレス管に換えたら電食起こると思う?」って電話が来ました。
そのまま見れば電食は起こるであろう施工です。
(公共工事の太物の配管なので、住宅設備とはちょっと違います)
以前の記事
電蝕(電食)とは
電蝕は漏水の原因になるんですけど、発生のメカニズムが難しい。
で、ちゃんと防止する方法があるんだけど、曖昧な部分もあり、発生するかどうかもよく判らない。
電蝕が起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。
起こる場合もすぐに(数年程度)起こる場合と何年もなんともない場合もある。
だからあまり気にしていない業者さんも結構います。
でも可能性がある以上防ぐ必要あるんだけど、防ぐ為には知識と費用がかかる。と。
だから、いつも現場ではどうやればちゃんと防げて費用が抑えられるか悩みます。
公共工事でも昔に比べて、僕からみたら過剰に気にする場合があります。
一般住宅設備だと、下の写真は給湯機のステンレス部品に鉄管部品をねじ込んだ部分。
腐食状態が酷いので電食が疑わしいです。
話を戻して。
「『電食起こると思う?』って聞かれれば『起こる』としか言えませんよ?」と言うと
「なんで?」って聞くので
「起こると言われているからです。(現場なら)大丈夫って言う人もいますが、おそらくどこの(パイプや継手の)メーカーに聞いてもそういう回答だと思いますよ」と言うと
「大丈夫だよね?」って言います。
「『大丈夫ですか?』って聞かれたら大丈夫じゃないですって答えるしかないです」っていうと
「でも良く見かけるし、何年も何ともない場合もあるよ」って言うので
「確かにたくさん見かけます。最終的にそれを使うのはお客さんであり、漏水して困るのもお客さんです。
だから聞かれればダメって言うしかないでしょう?そもそも、なんでステンレスなんですか?」
「ステンレスの方が錆びないじゃん」
「いやいや前後鉄管ですよ。(そこだけステンレスにしても)意味がありません。」って言うと。
「前後の配管は(大工事になるので)交換できないでしょ」
「そりゃそうですけど、前後の配管よりは新しくなるので、鉄管でもいいんじゃないですか?」っていうと、それでもステンレスが良いって言うので。
「じゃこういう(絶縁)部品で繋げばステンレス管でも良いですよ」って言うと。
「予算ないんだよね」と。
(じゃステンレスもやめればいい気がしますが・・・)
結局電食は無視することにしました。
別に、いいんですけどね。
たぶん、「大丈夫じゃないですか」って同意が欲しかったんでしょうけど、嘘はつけないのでガッカリしていました。
電食って難しいです。
可能性の話なんでね。
これもステンレスと鉄管が繋がってます。
(それ以外も酷いですが)
漏水はしていませんでしたが、保温材の下の割に劣化が酷いです。
なので電食かも?って感じです。環境がそうだから、そうじゃないかって想像するしかありません。
こちらは銅管と鉄管。
こちらも電食だけが原因ではないかも知れませんが、腐食がちょっと酷いです。
施設とかの太い配管だと明らかな場合がありますが、住宅の配管だと判りにくいですね。
経年劣化とか微妙な場合もありそうです。
可能性がある以上避けるってのが設備の鉄則なんですが、コストがかかるので省かれることが多く。
でも漏水すれば部品代なんて吹っ飛びますけどね。